北村早紀 × 石場文子 「やま あるいはその他のABC」

6月
21 Sat 2025
2人展

この度KATSUYA SUSUKI GALLERYでは2025年6月21日(土)より、北村早紀と石場文子による二人展「やま  あるいはその他のABC」を開催致します。

弊廊でのグループ展に参加した事で出会った北村早紀と石場文子は、同世代という事と、また大学時代に同じ版画技法を学んでいたという事もあり、それ以来親交を深めてきました。
二人は版画というメディアに携わるというよりも、方法論としての版画(版・レイヤー)を使用した作品を展開しているという共通点とともに、それぞれの思うビジュアル設計を尊重しながら、モチーフやイメージに対する距離感・間合いを一定程度保って制作している面があったことから、表出する作品の出立ちは一見近くは感じないが、かねてより二人は作品の相性の良さを感じていたと言います。
そして実現した2024年4月の福岡で初の二人展は、二人の作品の相性の良さを改めて確認し、手応えを得たものとなりました。

確信を得て迎える今回の東京では初となる二人展は、「やま」というキーワードから作品を展開します。
「山(やま)」という言葉は、富士山や阿蘇山のような大きな山から、学校の裏山や公園内にある小山、砂場の中の砂山など、スケールも様々な「地表の高くもり上がっているところ」としての意味の他にも、「ヤマが当たる」「今夜がヤマです」というような、観念的な単語としても使われますが、いずれにしてもそのほとんどは大きな塊としての視覚的要素を表す役割を以って使われています。
その他にも信仰という切り口で見ても、神が宿る場所、死後の世界、異世界への入り口、或いは自然の恵みと恐ろしさの両面を兼ね備えた畏敬の存在として敬われ、信仰されてきた歴史も持っています。

元々は北村が山を軸とした作品を制作していた事がきっかけとなって、対話を重ねてきた二人は、その結果として「ヤマ」とはそれが実在する・しないに拘わらず、実に広義で曖昧な概念であるという考えに至りました。
そしてこの「山に対する曖昧さの発見」が、今回の二人展へと発展していくことになりました。

今回の展覧会にあたり、ヒントにもなった詩人・哲学者である串田孫一の著書「山のためのABC」後記には、「あなたの山を想い出していただくように作ったものです。」(串田孫一「後記」より)という一文があります。
「あなたの山」と「わたしの山」はきっと同じではないけれど、「山」という言葉一つで括れてしまうのです。

今回の展覧会ですは、曖昧さを孕む広義な「やま」に2人で向き合い着想を得た作品を、インスタレーション形式で展開いたします。
東京では初となります今回の二人展、この機会に是非ご高覧下さい。

【開催概要】

「やま あるいはその他のABC」
北村早紀 石場文子

会期:2025年6月21日(土) 〜 7月6日(日)
営業時間:12:00〜19:00
休廊:月曜日、火曜日

〒152-0022 東京都目黒区柿の木坂1−32−17
TEL 03-5726-9985
Mail info@katsuya-susuki-gallery.com
HP  https://katsuya-susuki-gallery.com
東急東横線「都立大学駅」より徒歩5分

北村早紀  KITAMURA Saki

1989年 長崎県生まれ
2013年 多摩美術大学 美術学部 絵画学科 版画専攻 卒業
2015年 多摩美術大学 大学院 美術研究科 版画研究領域 修士課程 修了

主に人物や山をモチーフに、版表現をルーツとした作品を制作。
近年は日本の土着的・民俗的な信仰に関心が強く、常世信仰・山中他界観をベースとした作品コンセプトを展開する。
2023年以降、古写真に映る社会的な記号を失った被写体を「無重力的人物像」として着目し、自身が撮影した山中・山上での写真とを合成し、さらにその上に「不在の存在」としての木版表現を重ねることで、生命が持つ境界の曖昧さや相対性、時間や存在のゆらぎに意識を置く自身の版表現との融合を試みている。
国内外での作品発表のほか、静岡県熱海市ATAMI BAY RESORT新館のフロア常設アート、SHIPSのアートコラボTシャツ企画へのアートワーク提供なども行っている。

「TOKO-YO (HER) 」2024
紙にジークレープリント、油性木版59.4 × 42.0 cm

▼近年の活動歴
2020 
演劇「ホクロのある左足」イメージビジュアル制作(兵庫県立ピッコロ劇団、兵庫)
個展[Beyond the Mountain](Green Thanks Supply, 東京)
2021 
グループ展『Ordinary than Paradise 何事もなかったかのように』(アキバタマビ21, 東京)
個展[Never died yet] (Green Thanks Supply, 東京)
SHIPS『teeシャツを通じてアートに触れる』アートコラボレーション企画へ参加
「Numero Tokyo」イラストカット制作
2022 
アート企画[新春だるま展]参加 (tsugi, 福岡)
グループ展[ON PAPER](TAKU SOMETANI GALLERY, 東京)
個展「Not found mini」(tsugi, 福岡)
第65回CWAJ現代版画展 入選
2人展「 」(MIDORI so. Bakuroyokoyama, 東京)
個展[Nobody Sings, Nobody Sleeps.](Green Thanks Supply, 東京)
個展”By the Far Side”(岩田商店ギャラリー、三重)
2023 
新聞広告「キッザニア」イラストレーション提供
グループ展[It’s All Lies] (アキバタマビ21, 東京)
個展「蚊帳の 外で 遊ぶ」(TAKU SOMETANI GALLERY,東京)
個展 [THE new past](BOROUGH, 東京)
個展 [Waves over You](coco gallery in KOMINKAN, 長崎)
グループ展 [Ballet meets Art vol.2](KATSUYA SUSUKI GALLERY, 東京)
演劇「スターマン」イメージビジュアル制作(兵庫県立ピッコロ劇団、兵庫)
個展「スライスオブパライゾ」(Green Thanks Supply, 東京)
グループ展「333 vol.2」(SUP STAND FUKUOKA, 福岡)
参加 ”ART MARKET”(Pilgrim Surf + Supply, 東京)
2024 
アート企画[新春だるま展]参加 (tsugi, 福岡)
グループ展[ON PAPER](TAKU SOMETANI GALLERY, 東京)
グループ展「 art by side -日常で楽しむ版画たち-」(Bunkamura Gallery 8/, 東京)
グループ展「Summer Pulse – アートとつなぐ – 」(Hideharu Fukasaku Art Museum YOKOHAMA, 神奈川)
個展[Forgotten Triangle](Green Thanks Supply, 東京)
第9回山本鼎版画大賞展 入選
北村早紀 石場文子2人展 ”How do u spell”(Gallry other, 福岡)
2025 
TOKYO ART BAZAAR vol.7 (LAFORET MUSEUM HARAJUKU, 東京)
個展「青のピクニック」(川風のガーデン、神奈川)
第68回CWAJ現代版画展 入選
北村早紀 石場文子2人展「やま あるいはその他のABC」(KATSUYA SUSUKI GALLERY, 東京)

石場文子  ISHIBA Ayako

1991年 兵庫県生まれ
2014年 京都嵯峨芸術大学(現:嵯峨美術大学)造形学科 版画分野 卒業
2016年 愛知県立芸術大学 美術研究科 博士前期課程 修了

写真を媒体に日常的な風景を取材し、そこに実際の面や線によって介入することで、鑑賞者の「見る」と「認識する」の間にズレを生じさせ、視覚認識のあり様へと注意を向ける作品を制作。被写体を黒く塗り、カメラで捉えた時に輪郭のように見える「2と3のあいだ」「2.5」シリーズや、24時間室内の観葉植物を撮影した映像作品「だいたい一日」(2024)など、画面の中で得られる少ない情報に錯視効果を出すことで、目で見えている現象に対して問いを発生させる。

本展では、写真固有の特性を見直し、輪郭シリーズの作品を展開する。

「2と3のあいだ」2024
紙にインクジェットプリント
103.0×72.8cm 2点組
※参考作品(本展示では出展致しません)

▼近年の個展
2020年 「zip_記号と静物」Gallery PARC(京都)
2021年 KG+企画「2と3のあいだ」夷川サローネ(京都)
2022年 「Shuttle Run 2022」ARTDYNE(東京)
2023年 「視点の位置」MIAKI Gallery(東京)
2024年 「えいきゅうほぞんぶつ / permanent object」サテライトギャラリーSA・KURA(愛知)
2024年 「2,3,4(and 1/ or 1)」堀川新文化ビルヂング(京都)
2025年 「paper on paper」MIAKI Gallery(東京)

▼近年の展覧会 2021年 「現れの形象」ARTDYNE(東京)
2022年 「感性の遊び場」ANB Tokyo(東京)
2023年 A-LAB Exhibition vol.40「まちのことづて」A-Lab(兵庫)
2023年 「Ballet meets Art vol.2」KATSUYA SUSUKI Gallery(東京)
2023年 「バーナムで円を描く」COCOTO by COCO Gallery(京都)
2024年 「Kyoto Art for Tomorrow 2025 ―京都府新鋭選抜展―」京都文化博物館(京都)
2024年 「嵯峨美の森」京セラギャラリー(京都)
2024年 「How Do u Spell?」Gallery Other(福岡)
2024年 「いのちのしるし-The Sing of Life-」ARTDYNE(京都)

▼受賞歴
2019 年 VOCA展2019 奨励賞
2022 年 名古屋文化振興事業団第38回芸術創造賞
2024年 「Kyoto Art for Tomorrow 2025 ―京都府新鋭選抜展―」日本経済新聞京都支社賞受賞