⿊坂 祐 個展「眺めと⾒分け」

2月
4 Sat 2023
個展

この度KATSUYA SUSUKI GALLERYでは2023年2⽉4⽇(⼟)より、⿊坂祐による個展「眺めと⾒分け」を開催致します。
2017年に東京藝術⼤学美術学部絵画科油画専攻を卒業し、2019年に同⼤学⼤学院美術研究科絵画専攻を修了した⿊坂は、⾃⾝のD型⾊覚(2型2⾊覚)という、いわゆる⾊弱であるという境遇から、「⾒る」という事を様々な視点から考察した作品を発表してきました。

今回の個展「眺めと⾒分け」に向けて制作をする上で、⿊坂はまず「⾒る」ということを「眺め」と「⾒分け」という⾔葉に分割し、再定義しました。
そしてそこからさらに深掘りすることで、⾊覚者と⾊弱者の境界を超えた、よりプリミティブな視点へと辿り着きました。
それは外からの介⼊を受けることのない孤⾼の領域。

今回の⿊坂が到達した「眺め」を、是⾮その⽬で直接ご覧下さい。

【ステートメント】

「紅葉を楽しむ」ときにはなにを楽しんでいるのだろう。
こんな話題を多数派⾊覚者と「⾊弱者」の両⽅に出してみて話を聞いた結果、多数派⾊覚者は主に鮮やかに⾊づいた葉の「普段との違い」を楽しんでいるようだ。
つまりこれは「⾒分け」の楽しみといえるだろう。
対照的に私を含めた「⾊弱」はそもそも紅葉などなにもおもしろくないという意⾒や、紅葉を「普段との違い」で楽しむのではなく、普段と変わらず「緑を⾒て癒される」ような楽しみ⽅をするのだ。
こちらは「眺め」の楽しみとしたい。

紅葉を例に挙げたが、その他の「⾒る」こと全般も「眺め」と「⾒分け」に⼤別することができる。
もちろんこのふたつは完璧に分かれている訳ではなく、無限のグラデーションの中でゆるやかに繋がっている。
しかしあえて「眺め」と「⾒分け」に分けてみることで「⾊弱の絵画」とはどういうものかというテーマにアプローチしたいと考えている。
まずは「⾒分け」の問題点について挙げてみたい。

私が⽇常において「⾊弱」を意識して嫌になるときは常に「⾒分け」るときだ。
例えば駐⾞場の「空き」を⽰すランプが緑、「満⾞」を⽰すランプが⾚と⾊分けされているのを私はほぼ「⾒分け」られない。
⾊による「⾒分け」は社会(「⾊弱」を除いた)に深く⼊り込み、もはや取り除くことが不可能なところまできている。
それはいわば「⾒分け」に依存した状態だともいえる。
危険な場⾯においても「⾒分け」は⾮常に有⽤だが、それ故に「⾒分け」に依存することを問題視するべきだろう。

「眺め」というのはどういう状態かというと、⾒ることに意味や⽬的を求めないものの⾒⽅だ。
空を眺める、⼭を眺める、海を眺める...これらは対象を⾒たいから⾒ているというよりはただなんとなく⾒てしまっているといったほうがいいだろう。
⽬を開けているときはなにかを⾒なければいけない。
その⽬の置きどころを求めるように、ものを「眺め」る。

あそこの⾊が⾚で、あそこが緑で...なんてことは考えず、ただ全体/細部を⾒つめている。
この状態をなにも意味がないと捉えることもできるが、「⾊弱」の私にとってはなににも代え難い価値を持つ。
「眺め」ているときは「⾒分け」が⾏われない故に他⼈と⽐較されることがなく、⾃分が「⾊弱」でもなんでもないただひとりの⼈間でいられる。
現代では得がたくなってしまった孤独、絶対的な⾃分でいられる時間を与えてくれるのが「眺め」なのだ。

今回展⽰する作品は⽣活する中での観察や制作の中で培ってきた「眺め」の条件を絵画として表現したものだ。
この条件はあえて⾔葉にしないので、実際に体感してもらいたい。
「⾊弱の絵画」は「⾒分け」に依存した状態から解放し、「眺め」という孤独で幸福な時間をつくりだすのだ。

開催概要

展覧会名:⿊坂祐「眺めと⾒分け」

会期:2023年2⽉4⽇(⼟)〜2⽉26⽇(⽇)
営業日:⽔曜⽇〜⽇曜⽇定休⽇:⽉曜⽇・⽕曜⽇
※2/11、2/23祝⽇も営業致します。
営業時間:11:00〜19:00

会場:KATSUYA SUSUKI GALLERY
〒152-0022 東京都目黒区柿の木坂1−32−17
TEL 03-5726-9985 FAX 03-5726-9986
Mail info@katsuya-susuki-gallery.com
HP  https://katsuya-susuki-gallery.com

【⿊坂祐/ Yu Kurosaka】

1991年千葉県⽣まれ
2017年東京藝術⼤学絵画科油画専攻卒業
2019年東京藝術⼤学美術研究科油画専攻第3研究室修了

[主な個展]
2016 「ここからできるだけ遠くへ」, 作家実家, 千葉
2016 「ひとつのところにいる」, space dike, 東京
2017 「Weak Value」, itadakiBLDG., 東京
2017 「きょうまでいきてこられてよかった」, 野⽅の空⽩, 東京
2020 「いくつかのリズム、不活性な場所」, 四⾕未確認スタジオ, 東京
2022 「project N 87 ⿊坂祐」,東京オペラシティアートギャラリー4Fコリドール, 東京
2022 「光受容器の夢」, MITSUKOSHI CONTEMPORARY GALLERY , 東京

[主なグループ展]
2014 「ストレンジャーによろしく」, 太⽥駅なか⽂化館, 群⾺
2015 「ストレンジャーによろしく」, 名古屋市⺠ギャラリー⽮⽥, 愛知
2017 「アタミアートウィーク2017」, ツイキレンタルスペース, 静岡
2018 「絵画運動(ラフ次元)」, 四⾕未確認スタジオ, 東京
2019 「荒れ地のアレロパシー」, Mitsukoshi Contemporary Gallery, 東京
2021 「Young Okazaki vol.01」, MtK Contemporary Art, 京都
2021 「Emerging Artists」, 札幌⼤通地下ギャラリー500m美術館, 北海道
2021 「Collectorsʼ Collective vol.5」, biscuit gallery, 東京
2022 「Grid」, biscuit gallery, 東京
2022 「MEET YOUR ART FESTIVAL 2022 ʻNew Soilʼ」,恵⽐寿ガーデンプレイス, 東京
2022 「e to oto to…2022 ‐ART×MUSIC-」, +ART GALLERY , 東京

[受賞]
2019 シェル美術賞2019 グランプリ