この度KATSUYA SUSUKI GALLERYでは1月31日(土)より、弊廊では2回目となります家田実香による個展「時に針を刺す」を開催いたします。
学部生の頃から、家田実香は「時間」という不可視の存在に意識を向けてきました。
時間は確かに流れている。しかし、その姿そのものを私たちは見ることができない。時計は時間を測る装置ではあっても、時間そのものではない。
では、時間とは何なのか――その問いが、家田の制作の出発点にあります。
目に見えないものを可視化すること。それは、アーティストに課されたひとつの使命ではないか。そう考えた家田は、時間を作品として立ち上げることを試みてきました。
初期の「OSCA」シリーズに見られるひび割れた赤い画面には、「私と絵の間に流れる途方もない時間」が、物質の裂け目としてすでに内包されていました。
その後、制作は「物質が持つ質感と色の可能性の探究」へと展開し、「Rear Window」シリーズへと結実していきます。
2024年に発表された「CCW」シリーズは、家田の時間意識を再び大きく揺り動かしました。反時計回りを意味するこのシリーズでは、一度硬化したアクリル絵具の層をあえて溶かし、動かすという行為が選ばれています。硬化したものは元に戻らない、という思い込みから一歩引き返すこと。その行為自体が、時間に対する態度の転換でもありました。
本展では、タブロー、ドローイング、そして空間へのアプローチという三つのベクトルから、時間に触れる試みがなされます。
かつて、どんな空間であっても作品が場を支配することを志していた家田は、いま、作品のために空間を整えることを選びました。
それは、訪れる客人のためにすべてを整える茶室の主のような心持ちだと、家田は言います。
「時に針を刺す」
標本を作るように、今という瞬間を留め、観察すること。
時間と向き合い生まれた作品のために用意された空間鑑に身を置くことで、鑑賞者は確かに存在していた時間と、静かに出会うことになるでしょう。
[ステートメント]
今、時に針を刺す。
私が今思うことを、この空間に留めるために。
私はこの展示で、作品を「時を留め、可視化し、時に遡ることのできる空間」として扱っている。現実の時間を止めることはできなくても、作品の中の時間ならば、私の手で留めることができる。
「時に針を刺す」とは、標本を作るように、今という瞬間を固定し、観察する行為である。本展示は、確かに存在していた時を留める試みである。
家田実香
家田 実香 / Mika Ieda
「時に針を刺す」
会期:2026年1月31日(土)〜2月15日(日)
休廊:月曜日・火曜日
営業時間:12:00〜19:00
〒152-0022 東京都目黒区柿の木坂1−32−17
TEL 03-5726-9985
info@katsuya-susuki-gallery.com
https://katsuya-susuki-gallery.com
東急東横線「都立大学駅」より徒歩5分
家田 実香 / Mika Ieda
【略歴】
兵庫県出身
2018年京都造形芸術大学(現:京都芸術大学)大学院修士課程芸術専攻ペインティング領域修了。
絵具が持つ質感と色の関係を探究する「マテリアルフェティシズム」を標榜し絵画作品を中心に制作している。
【主な展覧会】
2018年「シュレディンガーの猫」東京都美術館(東京)
2019年「ARTISTS’ FAIR KYOTO 2019」 京都文化博物館(京都)
2021年「家田実香個展 溶けない心臓」roid works gallery(東京)
2022年「POLYPHONY」ARARIO Gallery Shanghai(上海)
2023年「家田実香個展 神様はサイコロ遊びをさせる」KATSUYA SUSUKI GALLERY(東京)
2024年「家田実香個展 松を探しに森へ行く」Miaki Gallery(東京)
2025年「家田実香個展 Room with a painting」TSUTAYA BOOKSTORE 恵比寿ガーデンプレイス店(東京)
他多数
「CCW251126-1」
H53.0×W41.0×D5.0cm
綿布にアクリル絵具 2025